あなたのノイズ、わたしのミュージック。

自分が何にどう関心を示したかの記録。

30DaySongChallenge(2020/4/12-2020/5/11) Day22-Day30

きっかり30日で完走できたことに満足しきり、最終タームをまとめ忘れておりました。
よくある話です!!!



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Q
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今回はDay22からDay30まで。


Day22: キャノンボール / 中村一義

選曲テーマは"A song that moves you forward"。

お題は"前に進む力の源となる曲"みたいなニュアンスで解釈しました、
原文を自分なりに訳したところ、曲に引き摺られていくみたいなイメージになってしまい、何だか嫌だったので……。

中村一義さんが世に出て20年以上。
今年もアルバムがリリースされたように活動自体は継続して行われているものの、近年はその展開が大きくないため、
氏の音楽を知るか知らないかは、もはや聴者側の趣味に関係しなくなってきてしまっているのかもしれませんが……。

たとえ中村一義さんの音楽を、その音楽が興ったバックグラウンドを事前に知らずとも、ほんの僅かな時間でも歌を耳にしたならば、
そこにパワフルさ、男性性に支えられたものではなく、
生の根源的なところに由来しているかのようなそれを感じない方は、
おそらくいないのではないでしょうか。

70's、80's、90'sだろうが、
今が二千なん年だろうが、
死ぬように生きてる場合じゃない。

曲中にて列挙されたどの時代からみても遥か先となった現在においても、説得力を失わない歌。
暗闇に浮かぶ太陽のように、私のうちで絶えず静かに燃え、明かりとエネルギーを与えてくれる存在です。


Day23: The Kiss / Judee Sill

選曲テーマは"A song you think everybody should listen to"。

"everybody"に特定の範囲(音楽好きであるだとか)は設けずに選曲しました。

Judee Sillを何かの象徴として扱う意図はありません。
しかし、彼女の音楽と彼女の人生をそれぞれ知り、思い、聴き返す過程を踏んだ時、
人間は他の人間に可能性を与えることができ、そして奪うこともできる、そのことの恐ろしさや、
あるいはもっと根本的なところで、誰もがひとりの人間として生きていくために切実を抱えていること、
これらについて、私は思いを馳せずにいられませんでした。

別に検討の対象は彼女でなくとも良いのですが、
自分が想像可能な範囲の外にある背景を持った他者のことをひたすらに思ったり、感じたりする過程は、
ヒトとして生まれたのであれば必ず通るべきものなのではないかと、ここ最近では特にそう考えています。

人類はまだ、他者を慮れずに生きていけるほどの強さを(これを強さと呼んで良いものか、私はそれすら迷いますが)獲得していません。
"想像を超えたところに存在している人々のことなんて知らないようにしていても、自分は発展してゆけるのに"が通せるほど、
各個体が独立して存在できる段階にはありません。

またそれは、どんなに想像力を駆使してもわからないほどにまで秘匿されたことでもありません。

象徴的な存在にしたくないというのに、沢山の事例を挙げるのではなく、わざわざ彼女を選んだのはなぜなのか。
単純に、彼女が構築した音楽と、そこに吹き込まれた歌が、非常に普遍的な美しさをもつものであるためです。
この日々に疲れてしまったら、どうかひととき耳を傾け、ゆっくりと自身の時間を過ごされてみてください。


Day24: 地図 / the cabs

選曲テーマは"A song by a band you wish were still together"。

この点において、現在の私は贅沢に悩めるルートに生きているのだと思います。

かつてthe cabsを構成していたメンバーは皆それぞれの在り方を、音楽を生きる道の上に見い出しました(なんとあの高橋國光さんまでもが!)。
私は後追いでthe cabsを知った者ですが、これは大変に素敵なことであると、
国内の様々なバンドが辿った道のいくつかを知っているがために、どうしても喜びを噛み締めてしまいます。

だからこそ、ときどき贅沢に悩みます。
これほどまでに芳醇な感性を育める可能性を秘めていた3人で構成されたバンドthe cabsが、もし続いていたとしたら。
"再生の風景"の先には何がみえたのだろうか。

もしこの先の未来で再結成することがあれば、私はそれはもう歓喜するのでしょうが、
ただそれは継続されたthe cabsに取って代わる存在ではないのだとも、意識してしまうことでしょう。


Day25: 笑ってサヨナラ / フジファブリック

選曲テーマは"A song you like by an artist no longer living"。

一生埋まらない私の空白です。


Day26: 戦闘機 / 七尾旅人

選曲テーマは"A song that makes you want to fall in love"。

私はたった一度自覚した恋により、恋を諦めた人間なので、
恋が切実に歌われた楽曲を聴くと、もはやこういった体験をしてみたいなどとは思わないものの、
もっとこういった体験をしておいても良かったのだろうな、とは考えてしまいます。

七尾旅人さんの1stシングルで歌われる恋はすべて、この憧憬の対象となりましたが、
そのなかでも特に痛ましく響いたのはこの曲でした。
恋を自覚する前に知った曲でしたが、自覚した後ではじめて聴いたとき、この曲を知り直したような感触がありました。

もうちょいかわいめなやつだと、シンメトリーあたりまでのメレンゲが大好きです。
(お題に関係ない点がその理由となるのですが、印象深い作品はその後に出たアポリアです(別記事でやれ))

はいかわいい!!!


Day27: ある会員 / 波多野裕文

選曲テーマは"A song that breaks your heart"。

前回掲載分の20日目にて、波多野裕文さんの音楽が私にもたらす作用の機序について長々と述べましたが、
このだいたいの場合には"私の心を壊す("私の心"を"私の心だと思えていたもの"にしてしまう)"過程が存在します。
自分で書いていても思いますが、大変そうですね。大変です。

今年1月、現在のように作品の形となる前の、この曲の演奏を聴いたときにもそれは起こりました。大変でした。
(この日は7曲もの新曲が一斉に放たれたため、それはもうボコボコにしてやられました)

それでもなお向き合っていきたくなる魅力が、波多野さんの音楽にはあるのです。


Day28: 恋にことば / トルネード竜巻

選曲テーマは"A song by an artist whose voice you love"。

私自身も歌を歌った経験があるためなのか、音楽を聴く際には歌に着目する癖があり、
結果として音楽に乗る歌声には敏感になりました。
その符合の良さによって好きになったヴォーカリストはたくさんおります。

しかし、トルネード竜巻のヴォーカル名嘉真祈子さんは、
「この人の歌声として発生し、そのまま消えてしまったとしても、私は満足するだろう」
と直観的に思えた、ただひとりの存在です。

歌声の振れ方がわかりやすいため"恋にことば"を選曲しましたが、"サンデイ"の歌も良いです。


Day29: コジコジ銀座 / ホフディラン

選曲テーマは"A song you remember from your childhood"。

この日はめちゃくちゃ迷いました、迷ったやつ列挙するのも面倒なほどに!(手抜き)
(何と迷ったのか気になるという奇特な方は、この日のログをご参照ください)

"コジコジ銀座"を選曲した理由ですが、
現在でも私の思考に強く残る期待の傾向、四方八方へと駆け拡がってしまいがちな想像力が、
この楽曲が力強く推す、未知なるものへのワクワク感と結びついているかのように思われたためです。


Day30: 破壊 / SPANK HAPPY

選曲テーマは"A song that reminds you of yourself"。

これの他には無いなと思いました。

その時々を生きた自分自身にずっと揺さぶられてきているのに、
それでもなお新しくなっていきたいと希求してしまう。
切実な行動であるはずの神頼みも投げやってしまうほどに、
嫌になるほど不器用な自分の手で頭で、いまある自分を壊し続けていきたい。



ノリで始めた30DaySongChallengeでしたが、
当初想定していたよりもかなり真剣に、聴者として現存する自分に向き合うこととなりました。
私はどうしても自分自身をわかっていきたい人間であるため、
このこと自体は大変刺激的な体験でした。

しかし、見い出せたその聴者たる自分の姿には、
これまでもなんとなくわかっていたけれど、直視はしないようにしてきた欠点が顕れておりました。


自分は新しい音楽を聴こうとする姿勢を持っているほうだと認識していたけれど、案外そうでもなかった。
生まれ育った世代と、音楽を見つめる基準とを固着させてしまっており、
日々新しく知ってゆく音楽達のほとんどを、骨にも血にも肉にもしていけていない。

表現がだいぶ陶酔に寄ったものとなってしまったので(ただ自分のうちでは上記の表現が最もしっくりきます)、
いったん(自身に向けた)問題提起の形に書き換えます。
自分の世代の音楽との対照例として、新しい音楽を見つめてしまっているのではないか。
もっと端的に言い切ってしまうならば、基準のアップデートができていないのではないか。
結局、自分の若い時に聴いたものばかり挙げているではないか。

……よくある話です!!!


私は音楽に従事する者ではない、ただ音楽を聴いたり、演奏を観たりすることを好むだけの一般人です。
そのため、本来であれば別に上記のような問題を起こす必要はないはずです(従って、これを読まれているかもしれない同様の立場の方にまでこれらを問題として突きつける意思もありません)。
にもかかわらず、私はこれを欠点として捉えている。
少なくともこの見直しを終えて間も無い、2020年5月31日の時点では。

今日ここに記録される、私自身による私自身への問題提起は、
"私はどのように音楽と過ごしていたいのか?"などと、根本から惑ってしまった際に、
きっとひとつの標として作用するでしょう。

まあ、実際そのようなときに力を与えるのが問題視の記録なのか、30日ぶんの音楽に対する思いの丈なのか、
もしくはまったく違ったものなのか、現在からは想定しようもないのですがね。
結局は無責任な願いです、
ただ願えるアテがあるってのは生きていく上で健康的なことなんじゃありませんかね、多分ね……。



以上となります。楽しかった!

Twitterにて挙げた音楽に反応をくださったり、また当ブログをお目通しくださったり(こちらについてはどれくらいいらっしゃるのかわかりませんが……)、
何かしらの形でお付き合いいただきました皆様、ありがとうございました。