2019年12月のわたしのミュージック。
自分が何にどう関心を示したかの記録。
Spotifyプレイリスト
ラルク解禁には乗り損ねました、有識者の皆様による無数のラルクプレイリストがPocketに蓄積されてゆく……。
待望のMaison book girl新譜と唐突な小袋成彬新譜のダブルパンチ、を耐えればどうにでもなると思いきやDusterの新譜(19年振り……?)というものが控えていたためにどうにもならなくなりました。
また月頭から次々にタイムラインを流れ行く年間ベストの数々に圧倒され……あまり見ると自分の感覚で選べなくなりそうなので途中からひたすらURLをPocketに放り込み、年明けの楽しみとすることに。
それでもいくらか影響されている節は否めませんが。
Maison book girlの海と宇宙の子供たち、タイトルからしてyume並の大作を予感していたらかなり見通しの良い作品がきて少々唖然。
ただ、収録時間が前作の6割程度となったのにも関わらず"コンパクトな"という印象にはならず。
むしろ見張るほどに遠く遠くが見えていく、広がっていくもの。
このPVのサムネイルみたいにしていたくなる。
小袋成彬のPiercing、楽曲ごとの枠組みを適度に取り払い、また多様なミュージシャンを流動的に導入し、
といったように前作との相違点を羅列したのみでは非常に軽やかな作品であるように見えそうなものですが、
その曖昧な体制の中でより小袋さんの強固さが、また軽やかな雰囲気の中でより喪失の芯が、それぞれ強調されてしまう。
私は私を生きているのだと思いたがってきた聴者ほど脆弱さを晒してしまうかもしれない、指向性のある恐ろしさが潜んだ作品。
Dusterのセルフタイトル作品は歪みが適当に暖かく煩くなく暗く、
自分はいま立ち止まっているのだと錯覚するか自覚をしなおすか、どちらかに陥りそうな音色が続く。
時期もまた良いように作用しているのかもしれませんが、聴き始めてから一週間経っていないのにリピート回数は今年屈指かもしれない。
あとめちゃくちゃに今更なのですがアメフト新譜が爆発的に効いてきました、
過去作から一気に聴き返してみてようやく今作の広がり方の異様さに気が付く己の鈍さ……。
9-11月のまとめを今月になってから書いていたのでそこからの輸入?もちらほら、
The Electric PrunesからHood(You're Worth The Whole Worldのほう)までは先月のNAOTO氏フェイバリットプレイリストからそのまま持ってきてますね……
一応どれもアルバム通して聴いたのですが、先のプレイリストで選曲されていたのが結局一番良かった、血肉となった人の血肉なのだから当然といえば当然か……。
特にHoodのCold Houseには延々と囚われました。特にYou're Worth The Whole Worldは一曲のうちで音色・歌詞・エディットのすべてで分裂と統合がそれぞれなされていて中毒性がある。
そう、囚われたように聴いたり、思い出したりすることの多い月でした、
前月と真逆の没頭をしてしまって多分これはあまり前向きではない、現実からの逃避的行動であってあんまりよくないのかなと思いつつ、逃げる先がないよりは良いのかしらと
前述のHood以外に強烈であったのはムーンライダースの9月の海はクラゲの海でしょうか、他者を意識する必要が発生した矢先に耳にしてしまった、そればかりに?
先月かその前あたりに、"波多野裕文の作ったトラックをレコードで聴けるから"といった邪な動機で注文したPlastic Tree有村竜太朗ソロ2作品のLP盤も届きました。
旧譜ですがそもそもCDで持っておらず配信もしていないと思い込んでいた(届いてから色々調べていくうちにSpotifyにはあったことを知った)ので初めて聴いたのですが、
艶はあるが媚のない声質でいるために、冷えた歪みが重なるバンドアレンジが被さっても浮かびも沈みもすることなく立っていられる強さにまず驚きました。
そして、制作時のゲスト的メンバーの役割がまた適切でありました、というかどうやらかなり自由に任された結果であるようなので、任せた側の勇気も任された側の勇気もなかなかだなあと驚嘆してしまった……。
THE NOVEMBERS小林さんのとびきり鋭利なギターも、People In The Box波多野さんの着想力と構成力の溢れるトラックメイクも、NARASAKIさんが手がけたアコースティックアレンジの豊かな音像も……。
波多野さん、他の音楽家とのコラボレーションももっとやってください……
— れみどり (@osouonna) December 24, 2019
まじでお願いします。
タイムラインに流れてきたツイートでEl Paraiso Recordsというレーベルを知りました。
Causa Suiというサイケバンドのメンバーによって運営されており、当初は彼等の音源リリースのためのレーベルであったよう。
公式が作っていたふたつのプレイリスト、振り幅が端的に現れていて良いです。
プレイリストのチョイスが良いのか、取り扱う音源が良いのかは今後追いかけていくうちにわかってくるかしら
Landingという検索泣かせな名前のバンドがドリーミーさも有しており好みでした。
https://elparaisorecords.com/artists/landing
以下はプレイリストに含みきれなかった要素について。
Amazon.co.jp: Maison book girl 特設サイト: ミュージック
→ライヴが近いのでとりあえず特番のEPISODE 01を観ましょう、話はそれからだ
→画質が悪すぎて私にしか判別できないけれど、15歳くらいの私がいます、懐かしいなあ
新ミニアルバム「透ける光線」公開しました。
— べっどたうん高橋 (@thebedtown) December 7, 2019
こちらからフリーダウンロードできます。https://t.co/nlF7mu6awC
※価格を0に設定してください。
CD-Rはこちらで売っています。https://t.co/waXyePt6hI pic.twitter.com/yHXfXP4tYp
(ほぼ)全曲解禁記念: "もう時間は戻らない"
group_inouのプレイリストを選りました、順番は好きな順ではないです、ただ非常にベタだと思いますhttps://t.co/OAzn2b2ehf
— れみどり (@osouonna) December 20, 2019
group_inouがアルバム・ミニアルバム作品のサブスク配信を解禁していため、プレイリストを作成してみました。
同日にinou名義の楽曲提供予定が発表されたていたし、(行けなかったけど)今年はライヴもやっていたし、活休中とはいったい……。
多分活動中に通しで聴いていた作品はアルバムのfoods/System KitchenとDAY、シングルのMONKEY/JUDGE、HALF、MANSIONあたりだったはずなので、
思い入れよりは現在の趣味が反映されたものになっていそうです。口当たりの良さそうなあたり
改めてfoodsからMAPまで一気に聴き直してみると、ESCORTの時点で自分達の特性を把握しコンパクトにまとめるのには成功していて、
以降は心理描写や音色の重みをひたすら研いでいく方面に進んでいったように受け取れました。
group_inouのサブスクが解禁されたので、僕の好きな曲をあげときます(今のきぶん)
— imai (@et_imai) December 21, 2019
STORY
KNIFE
MYSTERY
ELEPHANT
STATE
VERANDA
RALLY
SOS
imaiさんとチョイスがまるで被らなくてウケました。
そのほか、ノイズまみれの言及の数々は下記にて。
れみどり(@osouonna)/2019年12月 - Twilog
そらの孔分室: 音楽の書棚
読み応えのあった音楽関連のインタビューとかレビューとかについて勝手に読書感想文をつける試み。
何がわかるわけでもないので記事載せませんでしたが、lute破産のニュースには驚きました。知財の管理どうなるんだろう……。
渡辺志保 ミドルクラス(中流階級)アーティストの収益構造を語る
bayfmのラジオ番組で渡辺志保さんという音楽ライターの方が発言されていた内容の書き起こし記事。
話の中では、私のような一般リスナーには見ることのできない、けど気になるサブスク配信サービスの構造にも触れられています。
あとはアーティストがいろんなディストリビューションのサービスっていうものがあるんですよね。あの日本でもTuneCoreとかが有名ですけども。そういった会社に自分の楽曲を預けて、それでいろんなストリーミングのサービスに配信をしてもらう。
で、面白いのがそこに「スプリット」とか「ステム」と呼ばれるようなサービスがあるんですけども。「この人がマネージャーなのでこの人に自動的に10%払うようにしてください」とか「この人がプロデューサーなので、この人には20%支払うようにしてください」っていうのを自分で、そのメールアドレスさえあれば登録して。自分の好きなように作品に関わってくれた人にお金の分配ができるわけなんですよ。
これ日本でもこうなってるんですかね。
アーティストだけじゃなくて運営側というか、芸術活動を直接サポートする人々にもお金が渡っている状態であれば、結果的にアーティストが持続的に活動できていく可能性が高まるだろうから、
記事で主に取り上げられているようなインディペンデントの体制以外においても拡大のしようがある、良い仕組みだなと思いました。
ただかなり近い時期にサブスク配信サービスのお金の分配についてThe Horrorsのメンバーが苦言を呈していたのも目にしました、
活動の規模感の大きく違う2者なのでどちらの状況も真ではあるのかもしれませんが。
やはり透明性がいまいちなんだよなあ……。
Sparklehorseのアルバムについて語る。破滅のピュアネスとかき鳴らされるノスタルジー。マーク・リンカスの言葉と共に。
今年前半にFenneszを掘り下げていたとき、Sparklehorseとの共作においてFenneszがギタリストとして映えていたのが素敵で、
この拮抗した存在感を示しているSparklehorseが気になったものの中心人物のMark Linkousの自殺により活動が止まっている、との情報を引き当ててしまいなんとなくそこから追求の手を引いてしまっていたのですが、
タイムラインに流れてきた各アルバムの相関図のわかりやすさに惹かれて記事を開いてみたらば、Mark氏自身とつくられた音楽それぞれの変遷を照らし合わせた丁寧な解説が展開されておりましたため、こちらを頼りにようやくちゃんと聴き始めることができました。
Dreamt For Light Years In the Belly of a Mountainが非常に好きです。
ただこの出来事により自分にとって作り手の思考、起きた出来事といった作品外のところをはしる文脈が、音楽を享受する思考に多大な影響を及ぼしていて、それは常々把握しておかないとまずいなと、
幾度目かわからない反省の感情も発生してきました……適度に気を付けていければ多分それで良いのだろうけれど。
目で感じる音空間(5)ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」
わたしは、弾いているのではなく、ふと、弾くのをやめた、あるいは、ただ楽器を前に音・音楽を想像している、音のない状態を聴いている女性をみる。
それも、すぐそばでなく、部屋ひとつ隔てた、距離のあるあいだに、何かしら微かな音があるかもしれない、いや、いまこのときにはしていないが、いまにもあるかも、おこるか、でもいまはまだ刹那、乱されない音のなさが保たれている。
ハンマースホイの絵を表現するこの描写があまりにも見事だったのと、絵画ばかりか音そのものを用いてもなお知覚させるのが難しい無音・微音といった音の不思議に囚われかけたのと、それぞれ別種の慄きに見舞われた記事でした。
日経のこの連載、クレーの赤のフーガの回も良かったです。音をイメージして視覚を解釈することもまた可能であるらしい。
アーティストの音楽履歴書 第11回 長谷川白紙のルーツをたどる
"エレクトロニカ おすすめ"の検索結果なんか恐ろしく既視感があり、きっと同じものを見出してきたはずなのに……みたいな無益な悔しがりがきっと読者各々のタイミングで発動するかと思われますが……(余計なお世話)、
知覚と好奇心の鋭さをエンジンに貪欲な吸収と慎重な解析のサイクルをぶん回してきたことが読み取れる資料。
なかなか新宿紀伊國屋行けないからって図書館で本借りた翌日に行けてしまった、むちゃくちゃだ pic.twitter.com/xcsGX5TRxb
— 夜戦 (@yasen_chang) December 17, 2019
物理本(こんな呼び方が許されて良いのだろうか)のほうも今月は音楽関連のものを多めに入手しました、どうせ何かまとまった思想や物語を読み込めるほどの集中力も起きないだろうし……。
とりあえず何聴きたいか思いつかなくなったらECMカタログを捲ってみることにしています。
Vaporwaveは音楽自体に興味があるかとなるとそこまでなのだけど、こうやって数年分の変遷がまとまった書籍として残る機会が今後あるとも思えない(今回のECMカタログみたいに増補改訂版が出るかすら怪しい)、またそういう危機感のあるときでなければ延々と買わなくなりそうなのでひとまず確保しました。読むのかしら
ライヴに行った日の感想
行ったライヴ
※複数組出演の場合は印象深かったものを掲載。
- 12/4 CHIIO・People In The Box・ナツノムジナ @WWW
- 12/6 猪狩翔一・波多野裕文 @440
- 12/10 波多野裕文・奇妙礼太郎 @La.mama
- 12/17 Maison book girl(海と宇宙の子供たち発売記念インストアライヴ) @タワーレコード新宿店
- 12/18 ORANGE RANGE @中野サンプラザホール
- 12/20 長谷川白紙(エアにに発売記念インストアライヴ) @タワーレコード新宿店
- 12/21 笹川真生・colormal @Zher the ZOO
感想の類は以下。
その言葉だけで回収しきらないでMC後の演奏でしっかり示していた、
— れみどり (@osouonna) December 4, 2019
私はただでさえ何かが証明される瞬間を好きでいがちだけれど、これまで体感してきたそれらの中でも最も格好良い証明のひとつだった
先述のMCが上滑りしていかないためには、
— れみどり (@osouonna) December 4, 2019
今のPeople In The Boxのその真髄が後発のバンドに惚れこまれるものであることが必要条件であって、
その直前の出番にてそれを満たすライヴをまあ悠々と成し遂げていったものだから、
感動がこんなにも延々と湧き上がってくるわけです、イカしてますね
この日は本当に良いものをみた、多分みたかったものをことごとくみることができた、こんな喜びを享受できて良かったのかな?っていまだに問い返せるほどに……誰に?
それぞれがさらに新しさを追求したその先で形が変わっていったとしても、この日呈した軸がぶれないでいる限りまた共に音楽ができていけそうなふた組だったため、今後また展開があれば良いなと、淡く期待を抱いています。
奇妙礼太郎さんがことばのうたといった題で披露されていた楽曲に惹かれたのだけど、
— れみどり (@osouonna) December 10, 2019
物販のスタッフさんに伺ったらまだ音源化されていないとのことで1番新しい作品を購入した
後からいらしたご本人、サイン書いてる時にその楽曲を音源化するようスタッフさんにつつかれてらしてた、すみませんでした pic.twitter.com/8UDokGLlFL
急かされる流れを生み出してしまったのは申し訳なかったものの、音源化されたら嬉しいなとやはり思う、私はある羅列の中から何かを見出せる可能性のある、ああいった言葉に弱いようです……。
サムライマニア→セプテンバー→(MC)→恋のメリーゴーランド→アスタリスク→White Blood Ball Red Blood Ball→リアルバーチャル混沌→オボロナアゲハ
— れみどり (@osouonna) December 22, 2019
この流れの組み方、シングル楽曲もまたあるバリエーションのひとつでしかないことが示せていて素晴らしかった
後日ファイナル公演を配信で観ていたのですが、ここ成り立つのが本当に訳がわからない。
客席が緊張しきっているならまだわかるがそうではないからなおのこと。
SE無しキーボード弾き語りで披露された怖いところ、及びWonderful Christmastime tineのカヴァーが等価に長谷川白紙のアウトプットでしかなかった、
— れみどり (@osouonna) December 20, 2019
身体のできる範囲に制約されてもなお自身の色を呈されて、純粋に把握・分解・構築発現、すべての能力が高いことを思い知る
長谷川白紙さん、同期音源の入らない弾き語りにこそ凄みが宿っていた……。
わたしのお部屋がエアににに!
— れみどり (@osouonna) December 22, 2019
ツイート面を表にして小笠原鳥類さんの詩ポスターと並べてみました、文字だらけ pic.twitter.com/UCvwQpJT5M
部屋にエアににポスターを貼る行為、部屋にに(じろんぬさん命名)
昨日横浜は元町まで行った主たる目的はラ・テイエールのお紅茶を買うため
— れみどり (@osouonna) December 9, 2019
The Stone RosesのWaterfall、My Bloody ValentineのLovelessをモチーフにしたお茶を選んだけどミルクティ用の茶葉も買ってくれば良かったなあ、また行こう pic.twitter.com/rTcOwDVxNO
割とどうということのない出来事ですが(そもそもこの紅茶屋さん知ったきっかけすらどこからか流れてきたツイートでしたし)。
Waterfall、レモンが散りばめられていて多分夏飲んでも美味しいだろうなと、デカフェだから今あたたかくして美味しくいただきながら思いを馳せています。
これで今年の音楽体験を適当に網羅できた、と思いたいところなのですが実は後1本、下北沢440の年越しイベントに行くのでまだ締まった気分にはなれないのです、
とはいえ締めと初めが同時に来てしまううえ、今回の演者の殆どは今年回収しきれなかった範囲の方々で占められているため、なんかもうめちゃくちゃになって帰ってくることが容易に想像されるのですが……。
ひとまずのところ、良いお年を。