2019年11月のわたしのミュージック。
自分が何にどう関心示したかの記録。
- Spotifyプレイリスト
- そらの孔分室: 音楽の書棚
- 越雲龍馬(polly) × 小林祐介(THE NOVEMBERS) 対談
- 石野卓球 LUNATIQUEリリースインタビュー
- スピッツはなぜ「誰からも愛される」のか〜「分裂と絶望」の表現者
- 日本の音楽産業が危ないーー音楽プロデューサー・亀田誠治氏が説く“サブスクリプション配信の価値”
- 音楽と生活をめぐる旅。香川県へ移住したPeople In The Box波多野裕文を訪ねて
- OGRE YOU ASSHOLE 新しい人 アルバムレビュー
- アンナ・メレディス、UKクラシックの俊英にして異能の電子音楽家に迫る
- 諭吉佳作/menの本名は?調べてみました
- ナツノムジナ×ピープル波多野の野外REC&対談 音が音楽になるとき
- ライヴに行った日の感想
Spotifyプレイリスト
11月、pot-pourri(リリース9月末だったけど)と長谷川白紙、Beckと期待を寄せていたあたりの新譜がことごとく良すぎてバグりました、何が?
長谷川白紙、個人的な体験ですが私の可聴音域に瑕疵があることを思い出させる(悪魔という楽曲、右からも左からも適切に聴こえていなければ満たない空間があるはず)ほどトラックの作り込みが緻密でいて、
アイディアの派手さや奇妙さを知識で纏め込む構築の技量をひしひしと感じました。
そして、そこまでの技術力があることを誇示するための音楽ではなく、聴くことをする人間の知覚に切り込むための音楽であったことが心を嬉しく揺さぶってくる。
Beckは先行配信からその全体像を全く想像できなかったのですが、静謐で切実な作品でした。
切実は割と常にある要素な気がしていますが、いやだからこそその切実に対するアプローチが都度異なるのだろうか……。
今作のように冷えた苦悩に沿った音楽は音楽なのに現実味があって、私自身がそういったものを求める傾向にあるのだろうけれど日常的な頭からも離れていかない。
pot-pourriは夏に一度ライヴを観て、それを踏まえて先行配信分を聴き返していても各楽曲で完結しているような印象が抜けていかなかったのでアルバム作品を受け入れられるかわからなかったこと、あと入手経路によって特典が異なるが故の混乱によって入手がだいぶ遅れ、結局レコ発数日前に購入したのですが、迷うべきではなかった。
楽曲を完成させる力と作品を完結させる力は確かに別物であるのですが、それぞれがそれぞれの方向性で研ぎ澄まされていてかつ相互に作用しているととてつもない破壊力を生み出すのですね……。
レコ発前に聴いておけて良かった、予習が安心感よりもスリルを引き出すほうに作用してきたこと、そうそうにない体験でした。
ノーマークであった新譜だとAnna MeredithとSean O'Haganがインパクトありました。
特に前者はここまで自分が積み上げてきた好みのセンスを言い当てられたような気すらした……。
スマパンのJellybellyはSPIRAL LIFEのこれを聴いて、MansunのLegacyはORANGE RANGEのこれを聴いて。
タイムラインでオマージュの良い悪いについての話が盛り上がっていたため。
ORANGE RANGE絶対Mansunに愛着無いだろとか言われてたけど、
ちょっと調べてみたところ2011年にフジテレビ(CS局)で放送されたMUSIC SOUP-45r.p.m.-という番組にて、NAOTO氏がルーツとして挙げていた45曲の中にMansunもちゃんとありました。選曲はFall Outですが笑
※上記はその番組のサイト(https://otn.fujitv.co.jp/b_hp/909200077l.html)からアクセスできるリストです。
脱線しますがせっかく見つけたのでプレイリストにしてみた、Spotifyで拾えなかった3曲はその下にYoutube貼っておきます。
時の旅路 featuring INDEN / DJ KRUSH
Radical Star / Dry & Heavy
Lose My Breath / My Bloody Valentine
下記の記事みたいな形で、実際にMansunを挙げて解説しているような資料はすぐに見つからなかったから、一番にってわけではないのだろうけれど。
デビュー当時20歳だったNAOTO氏があの熱狂からいかようにして活路を見出さず生き延びたのかみたいなのを冷静に長いスパンで追える人、あまりに最初の人気が異様だったがために同業のミュージシャンか雑誌勤めのライターではない、強いアマみたいなあたりの論者にいなさげなの残念だけど腑には落ちる
— れみどり (@osouonna) November 6, 2019
というわけで有識者の方を募集しております、なんだ募集って、友達になってください……。
OGRE YOU ASSHOLE出戸さんのミックス、michael bundtやArpはここで聴きました。
上記記事によると、今回のために1日ネットで調べて知った曲がこのミックスの大半を占めているとのことですが、
どれほどの経験を積めばこれらを1日で引き当てられるまでの嗅覚が身につくのだろう……。
Thurston MooreのLeave Me Aloneカヴァーはそれが行われたという事実だけでたまらなくなってしまってあまりちゃんと聴けていないかもしれない、聴けよ
ごてごてしたつくりではなくマンチェスターのミュージシャン達との演奏であるというのがまた、ささやかに敬意のあるやりかたで良いなあ。
Floating Pointsの新譜、全体を好きになるというよりいくつかのポイントでグッと引き込まれてしまうような作品で、
個人的には1・4曲目に射抜かれましたが、違う人が聴いたら違うところが発火点として作用するのかもしれない。
この誘引が適切に幅広く効いているからであろうと、ニッチさに不釣り合いなほど広く聴かれている状況について思いましたがどうなのだろう。
そうなのだとしたら全体的に精度の高い作品で、検知できるポイントの多い人のことを非常に羨ましく感じてしまう。
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— UK.PROJECT (@UK_PROJECT) November 13, 2019
🎧NEW PLAYLIST🎧
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「in the studio selected by Ryoma Koshikumo(@ryomakoshikumo)& Yusuke Kobayashi(@Pale_im_Pelz)」公開!
今作の制作に影響があった楽曲をセレクト!
▷Apple Musichttps://t.co/eYEw2d3dXi
▷Spotifyhttps://t.co/jZNtxoKkx4 pic.twitter.com/m3cBfGDU8k
上記プレイリストに入っていたDif Juzはあまりにも構築が美しくて、ポストロック前夜となり得るくらい昔(1985年作)のものと知り驚きました。
4ADも概観すら掴めていない状態だなあ……。
Nils Frahm、新譜ではなく去年発のAll Melodyと同時期の作品をまとめたものであるようなので今年度新譜ベストに入れられないのが非常に残念……なほど良いです。
All Melodyが作り込まれた環境の中での実験精神を見せつけられるものだったので、対照して聴くとなお楽しいかと思われます。
Sister JugendのAstronautがCD化されたため、旧作アトムたちと併せて購入しました。
感情の吐露を描いていたとしても歌詞が歌詞としての距離感を保つ品の良さを、ブックレットを手元に取りながら聴いてようやく認識した、
今更そうなってしまうほどに楽曲自体が心地良い!
耳馴染みの良いキャッチーさを歪んだテクスチャでさらりと均す。
ステレオラブ来日を記念して、再評価が進む理由をプレイリストにまとめました。
— 小熊俊哉🧸 (@kitikuma3) November 26, 2019
ファレル、タイラー、Flylo、キング・クルール、cero、オウガ、広末涼子、現代ジャズ、ブラジル音楽etc。明らかに関係あるものから、どこか影響を感じてしまうものまで全75曲。https://t.co/mI8mDnHQMW
後半StereolabとStereolabっぽいのが3曲くらい固まっているのはこのStereolabプレイリストの影響です。
聴き終わった直後はStereolabとStereolabっぽいのとを聴き分けられるようになった!と思っていたのですがさっき聴き返したらまたわからなくなってしまった……。
新しい世界、aの音で気持ちよく突入するサビに入るたび深みに嵌る感情があり、ラスサビでは繰り返しの度に調が上がる動きまで付加されてくる見事さhttps://t.co/EjcGEy0tev pic.twitter.com/1lr5Axy27Z
— れみどり (@osouonna) November 30, 2019
ほんとこれ、置いていかれる心境とともに調が上がっていって、最後の"どこにもないのさ"で声が荒ぶるまで叫びきるのがめちゃくちゃ悲しくて好き
— れみどり (@osouonna) November 30, 2019
高橋徹也さん、この一瞬たりとも無駄のない構成の新しい世界という楽曲にいたく感動してしまい、アルバムも通しで聴いた、3回くらいぶっ通しで
20周年盤発売のタイミングでご本人がブログにライナーノーツを執筆されておりました、こちらを読みながらの方がいくらか無用な深読みから解放されて聴き込めるかもしれない。
以下はプレイリストに含みきれなかったり、含んだ背景がちょっとややこいけどそれを含めて残しておきたかったりした要素について。
→NEO POP STANDARDのライヴ盤から1曲入れようと思っていたのにSpotifyになかった、Deep Blue Sea Flowerとか良い仕上がり。
- アーティスト:NaotoHiroki&Karatesyatems
- 出版社/メーカー: アミディア
- 発売日: 2013/09/04
- メディア: CD
→こちらはSpotifyにもApple Musicにも無かったが何故かアマプラ特典のサブスク配信では聴けるらしい、ORANGE RANGEのコンポーザーNAOTO氏の最も奇怪なサブプロジェクト。
たぶん今年聴いた中でいちばん珍妙なアルバムだと思う、Travel Sounds / NaotoHiroki & Karatesystems
— れみどり (@osouonna) November 23, 2019
ORANGE RANGEのギターNAOTOとヴォーカルHIROKIが様々なミュージシャンとコラボする企画盤みたいなもの、それはいいとしてその相手があまりにも多様
あとなぜかジャケットイラストが松本零士 pic.twitter.com/2qZskaJN07
このツイートにぶら下げる形で大興奮で困惑を綴っていますが(全部ここに掲載するのは諦めたレベルで延々とやってる)、
正直本当に聴かれてほしいがためにここまで書いたのか自分でもよくわからない。わからない……。
そしてm7kenjiさんのアートワークが綺麗、毎度のことながら視点の寄せ方に納得してしまう……
— れみどり (@osouonna) November 24, 2019
opus0.1のときのアクリル円盤も綺麗だったなあhttps://t.co/lPxAZbs6oC pic.twitter.com/6iwsujQMkh
→PixelArtParkで購入したkyoheifujitaさんの作品。現物が良いので……HPにて委託先も掲載されておりますので……ぜひとも。
自己言及ソング People In The Box編
メタ的な歌詞を持つ楽曲を募っていたimdkmさんのツイートをお見かけした、誇張なしにその瞬間木洩れ陽、果物、機関車とユリイカとまなざしが頭を過ぎったので……。
どなたかにご指摘されたか何かしらで主張されていたのか思い出せず拾い漏らしてしまったのですが、真夜中も当てはまりますね。
"誰かがギターを弾いている"
そのほか、ノイズまみれの言及の数々は下記にて。今月は多いぞ!
れみどり(@osouonna)/2019年11月 - Twilog
そらの孔分室: 音楽の書棚
読み応えのあった音楽関連のインタビューとかレビューとかについて勝手に読書感想文をつける試み。
しかし11月の私、元気な暇人だったのでやたらに読み漁っていたよう……12月現在の私は元気のない暇人なので特に言及したいものにのみコメントつけることにします……。
越雲龍馬(polly) × 小林祐介(THE NOVEMBERS) 対談
上記で影響元プレイリストの方は紹介しましたが、polly新譜制作を掘り下げた対談。
THE NOVEMBERS小林さんがサウンド面・バンドのコンセプト面に関わっていたことが紹介されていますが、
その関わり方が押しつけがましいものではなく、根気良くバンドの軸を洗い直し、彼等の主体性を高めるようなものであったことが分かる記事でした。
ただ、この記事を読まずして聴いたとしても、なんとなくそれを感じられる作品であるようには思われますが。
石野卓球 LUNATIQUEリリースインタビュー
スピッツはなぜ「誰からも愛される」のか〜「分裂と絶望」の表現者
日本の音楽産業が危ないーー音楽プロデューサー・亀田誠治氏が説く“サブスクリプション配信の価値”
音楽のサブスク配信サービス、私にとっては手段のひとつとして、他の手段と同等に大切な存在です。
なので割と肯定的な感情でこの記事を読んでいました。
聴く立場の人間は聴き続ける努力を、求めるものが激動する波なのか安寧の地なのかでその内容は変わってくるだろうが(この二択とも限らないけど)、ずっと楽しくありたいならそれをしたほうがよくて、
— れみどり (@osouonna) November 19, 2019
サブスク制の音楽配信サービスは多分どちらを求める人にも有用な手段としていま存在していると思う
音源買うなりライヴに足運ぶなりサブスクのリンクに拙い感想添えて喧伝したり、聴き手が様々なやり方で作り手に還元していける現状、わたしには大変ありがたいものとして映っている
— れみどり (@osouonna) November 19, 2019
継続的に活動をしていて欲しいと願う気持ちの変換効率が上がる手段、あればあるだけどんどんやっていきたい
こんなところで書くだけじゃどうにも伝わりようがないけれど、求めることとしては作り手への還元率の向上(っていうかいまいちそのあたりの透明性が良くないのが気になる、サブスク以前からそうだけど)、
あと解像度の高い環境で再生されることを念頭に置いた音質の向上(amazonはその方面に向いたサービス始めてるみたいですね、私は聴力悪い方なので利便性で別のサービス選択してしまってますが)あたりでしょうか……。
音楽と生活をめぐる旅。香川県へ移住したPeople In The Box波多野裕文を訪ねて
この記事を読んで以降、Tabula Rasaは作られざるを得なかった作品であると認識をたしかにしました。
聴いた後で読まれたほうが腑に落ちるかと思われます。
あと個人的には、私自分の性質を固着させたものと近い事案にぶち当たったひとである波多野さん(インタビューや連載で明かされている範囲でしか存じ上げていないながらこう表すのもアレなのですが)が、
自分のあり方を模索し続ける道を選択した結果いまこうして暮らしを立てているということに刺激を受けました。
事案後に選択した生き方は違うものだけれど、貴重なひとつのパターンを知ることができた、私はこのことを自分を生きる上での勇気に変えることができる。
ほんとこの、自分の向き合うべきあらゆるものを見極め、それらに対してシンプルに誠実である、また意識的にそうであり続けようとする波多野裕文の考え方が大好きなんですよ
— れみどり (@osouonna) November 20, 2019
かくありたいものです。
OGRE YOU ASSHOLE 新しい人 アルバムレビュー
ele-kingで公開されていたレビュー文、読み解こうとする意志を感じるもので良かったです。
もっとこうやって思い巡らされるべき作品。
アンナ・メレディス、UKクラシックの俊英にして異能の電子音楽家に迫る
Anna Meredithを捉えるのに非常に助かりました……。
たぶん私の調査力では劇伴作家としての意図とかまでは知ることができなかったと思われます。
諭吉佳作/menの本名は?調べてみました
多分私にはこの切実さしか彼女に共振できるものがない、それだけで彼女に惹かれる理由には充分だと思った。
ナツノムジナ×ピープル波多野の野外REC&対談 音が音楽になるとき
12月に企画されていたライヴに向けて打たれた対談企画。
ナツノムジナがPeople In The Boxのマインド面を継承した貴重なバンドであることが読み取れます(そのライヴで再度強く認識することにはなったので多少バイアスがかかった目で読み返してしまっているかもしれませんが)。
ライヴに行った日の感想
行ったライヴ
※複数組出演の場合は印象深かったものを掲載。
- 11/4 OGRE YOU ASSHOLE @EX THEATER ROPPONGI
- 11/9 pot-pourri @神楽音
- 11/10 崎山蒼志 @神田明神ホール
- 11/11 THE NOVEMBERS @O-EAST
- 11/14 Narco-lepsy・長谷川白紙・Maison book girl(bmg vol.10) @WWW
- 11/15 People In The Box @ミュージック昭和Session(山形)
- 11/16 麓健一 @七針
- 11/17 土井玄臣・ti-ti.uu @ももすけ(小田原)
インスタに上げた感想は以下。
→上記を要約するとロープ眩しすぎでしょあんなん、となります。カメラ入れてたし映像化しますよね……?
EXシアターは天井が高い、音色達が縦横無尽に駆け巡っていてその混沌が気持ち良かった。
今夜のPeople In The Boxについての主観的感想: "この3人であるまま、新しくなっていきます"という言葉で一層確信を深めましたが、
— れみどり (@osouonna) November 15, 2019
鳴り始め終わることの蓄積、この地の澄んだ空気のような確かさを湛えていた今日を含め、あなた方がその強さを放つ限りはいくらでも歩めそうです、ありがとうございます
→山形のツアーファイナルに行ったこと、なにより自分にとってとても良いことになったのがよかった。
この日のPeople In The Boxのありかたが私の当面の目標です。
麓さん(Pf: ホソマリさん)
— れみどり (@osouonna) November 16, 2019
幽霊船
ヘル
新曲
二月の星
椿事
新曲(夏に演奏してたやつ)
新曲
ペンタゴン
土井玄臣さん、海で叫びすぎて喉かすかすになってた、良く言えばブルージー
— れみどり (@osouonna) November 17, 2019
自転車狂想曲
ぼんくらベイビー
新曲
カファール
そこにてる
新曲
謎
ハート
涯てな
歌にはそれが残る
→麓さんのも土井さんのも感想上げてなかったけどセットリストは残してあった、それでいっぱいいっぱい
柔らかく胸を打つ音楽のあったこの二日間がまたありがたかった。
休職し始めだったこともありエネルギーの有り余っていた月でした、自分の関心を追い直すのが大変だった……。