先週末-今週頭にかけてあまりに鼻水と頭痛がエグく、生活が破綻しかけましたわたしです。
内科で診てもらってもどうにもで耳鼻科にかかりなおしたら、風邪か花粉による鼻づまりからの副鼻腔炎というコンボが決まっていたことが判明。
これからは目には目を歯には歯を鼻には鼻をといった受診スタイルを心がけていこうと思います。
記事タイトルは誤植ではない、そうだったらいいのにな。
上記事に挙げた以外で、今年の1月に読んだ本の記録となります。
おしながき
いかにして問題をとくか / George Polya 訳:柿内賢信
グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 / 高野史緒
逆数宇宙 / 麦原遼
史上最強図解 よくわかるフロイトの精神分析 / 久能徹 太田裕一
やがて秋茄子へと到る / 堂園昌彦
いかにして問題をとくか / George Polya 訳:柿内賢信
エンジニアとしての仕事が始まって間もない12月、日々直面する解決すべきバグや改修への向き合い方が場当たり的であることを自覚し始めたわたくし(今更)。
この本と、次に挙げているプログラマの数学は、すっかり苦手として膠着してしまったその稼業に相対する姿勢をやわらげたいがために手に取りました。
私はどうしても器用な人間ではない、だからまず知るべきは奇手よりも定石の打ち方。
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問題を、特に数学の問題を解く場合に、その問題の持つ動機や手続きを理解することが、いかに好奇心や意欲にとって重要なことであるか。
そういった活動に日々向き合う学生のため、またその能力を伸ばそうと勤しむ教師のために上梓された本。
Google画像検索結果にもちょくちょく見受けられる、
本を開いてすぐのこの無骨な扉にこの本の骨子は書き切られています。
第1に 問題を理解しなければならない。
第2に データと未知のものとの関連を見つけなければならない。
関連がすぐにわからなければ補助問題を考えなければならない。
そうして解答の計画をたてなければならない。
第3に 計画を実行せよ。
第4に えられた答えを検討せよ。
そして3部構成になっている本文の中でも最も短く設けられた第2部(約250ページ中のたった4ページ!)において、
上記のリストによって示されていた問題解決のプロセスが、より精錬された姿で提示されています。
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じゃああと2つのパートはおまけかと言われるとそうでもなく、
むしろこれから他人もしくは自分を何らかの問題に引き合わせるといったような事態に置かれている方には、
第1部にて対話形式で示されている問への向き合い方(上記のリストを数学の問題を解く流れに照らしたもの)に、ぜひとも触れてみていただきたいです。
頭の中に根気の良い先生と生徒を住まわせるんだ。
通読には向かないかもですが第3部も大事、本の序文では"事典"と称されています。
リストの内容を補強したり奥行きを見せたり、発展へと導いたり。様々なトピックからなります。
頭から地道に読んでしまいましたが、結局徹底した筋としてあのリストがあるためそうしなくても整合性を見失わなかっただろうなとは思う、
トピックのひとつを摘んで、またひとつまたひとつと、興味の赴くまま触れてみてもよかったかもしれない。
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古いままの言葉とレイアウトであること、目次や索引があまり親切ではないということにより、割に読みにくかったかなあという印象でしたが、
そもそもこれはノウハウ集ではないのだからと、腰据えて向き合う姿勢に切り替え、
まずこの段は何を主体としているのだろうか、と把握することからはじめたあたりからは、いくらか楽しく読めるようになりました。
リストにも第1に問題を理解すること、ってありましたし。
……まあ巻末の問題集解けてないので理解には程遠いか。
- 作者: G.ポリア,G. Polya,柿内賢信
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 1975/04/01
- メディア: 単行本
- 購入: 94人 クリック: 1,656回
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プログラマの数学 / 結城浩
位取り記数法、論理、剰余、数学的帰納法、順列・組み合わせ、再帰、指数的な爆発、停止判定問題……etc.
上記の羅列みて少しでも心がヒクついた人こそ読んでみるべき、易しくて優しい数学的思考の入門書。
ひとつの分野につき図表も含めた2-30ページ程の章が設けられ、
これから取り扱う考え方は何を表現するものなのかを噛み砕いたそのあとで、どんな課題を考えていくときにその考え方が使えるのか、と段階的に説明がなされていきます。
というと課題解決集みたいなもの想像されてしまいそうだな、もう少し距離感の保たれた感じというか……。
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再帰という考え方、私はこの本読む中で初めてまともに向き合ったのですが、
その問題の構造を小さく分解してまず確かに捉えて、そこから見出された規則から一般的な式を立てて解くやり方だと知って、
……そういうコード、ちょくちょく書くじゃん、と腹落ちしました。
コードを書くときにそばに置いておく本、ではなく、書き疲れて休憩取ってるときとかに読んでると、
再開したとき自分が向き合っていたプログラムの姿がほんのり澄明さを増してみえてくる。
たぶんのちのちにこそ効いてくるやつ。
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プログラマなら楽しく読めるんじゃないかって内容ですが、読者が必ずしもプログラマである必要はないと思います。
その楽しいがわかる!からくるそれなのか、わかった!からくるそれなのかは人によるでしょうが、
どちらの可能性も把握しつつ筋を放り投げることなく丁寧に説明を展開していく、それを実現できるのがこの方の素敵なところ。
- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2018/01/17
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読んだだけで日々の困難が雲散霧消というわけもなく。
結局入社3ヶ月が過ぎた今になってもなお要領悪いな自分、って思わされることがしばしば……ばしばしって感じですが、
問題を眼前にして立ちすくむことの頻度は確実に減ったかなと思います。
まず何から何を成し遂げたいのか捉えて、そのためにはどんな構造を考えていけばよくて……と、
拙いながらに足場を組んでいけるようになった……かもしれない。
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以降は趣味で読んだ本です、楽に書き散らかせるぞやったー!
グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 / 高野史緒
ジュブナイルSF短編。
90年前日本の空に現れた飛行船ツェッペリン号、なぜその光景が現在を生きる女子高生夏紀の記憶に残っているのか。
その不思議を解明するため、天才の従兄弟が発明した拡張現実装置を携え夏紀は土浦の街を駆け巡る。
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ひとがものごとを認識すること、情報はそれをもたらすひとつの要素。
その手法は口伝であったり日記であったりSNSの投稿であったり拡張現実に打たれたピンであったり、時代によって様々ですが。
各世代のそれらを縦串でまとめたらこういうカオスになるんだろうなあみたいな、そういった感覚が得られたのは楽しかったです。
走るという行動のスピード感にも合っている。
グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行 (Kindle Single)
- 作者: 高野史緒
- 出版社/メーカー: Amazon Publishing
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逆数宇宙 / 麦原遼
ゲンロンSF新人賞優秀賞作品。
光そのものでできた宇宙船で、ある使命のもとに宇宙の果てを目指すものたちの物語。
最初の数ページで文明作っていくのがメインのストーリーかな、と思ってたらガンガン覆されていきました、ひとつの話の中でこんな様々なパターンのSFを繰り出してくるなんて……。
しかもそのどれもが練られた設定を地盤にもって建っているので、話が散漫にならないでいる。振り切れ過ぎかなみたいなとこはありますが
設定厨っぽいSF、年に一回くらい読みたくなりませんか。
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観測者たる自身が認識主体としてあるのであれば、必然的に生じる外側という概念。
そいつのことを様々なスケールで突き詰めていくという動きが、物語を通して反復されているように感じられました。
ひとつひとつ面白い試行でしたが、やはり旅の目的ともなっていた一番でかいスケールのそれがとても良かった、
単に私が大風呂敷広げる系の話を好きだというだけのことかもしれない。
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ロジックはだいたいよくわからなくなっちゃう人間なので、タイトルから結構ゴリゴリに理論進めてくるタイプの話かなと臆しながら読み始めましたが、
そういった世界への羨望と、ときに噴出する抜群のエモーショナルに引っ張られるかたちでしっかり読み切ってしまいました。
作者の観念がまだ固まりきっていないからこそ成せたわざなのかもしれませんが。
- 作者: 麦原遼
- 出版社/メーカー: 株式会社ゲンロン
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史上最強図解 よくわかるフロイトの精神分析 / 久能徹 太田裕一
およびそれが現在に至るまでどのように捉えられ、現在ではどういった形で生かされているのか、
一般人がざっくり把握するための解説書。
ALTER EGOというゲームの参考文献として挙げられていたフロイトについての論文が、
どうにも面白そうなのに知らないこと多過ぎてもどかしかったので、読み解くために購入。
余談ですが参考文献挙げてるスマフォゲームってはじめて見た気がする、おもしろいから全ゲーム製作者が真似してくれ……。
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精神「分析」と名がつくだけのことはあり、発現した性格や行為や病がどんな無意識に結びついたものであるのか、道筋を探すことを徹底していく。
その手法を数々の臨床例をもとに練り上げていく、といったフロイトのありかたは謎を解いているかのようで面白かったです。単に私が元理系であるから面白く感じるのかもしれない……。
エディプス・コンプレックスあたりになってくると過剰かなあと思わないでもないけれど。
人間のつくりによることだから、と説明がつけられることは、不安や偏見から人を守ることにも繋がるので、
世間の考え方がそういった方向性へ舵をとる、強い裏付けのひとつとなったこと、根源的にはそこが大きな功績であるように思いました。
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現在でも精神分析家という職業はあるらしく、そちらの紹介についても数ページ取られており、概ね興味深く読んでいたのですが、
アナリザンド(分析の対象者)が精神分析家に対して性愛のような感情を抱くことがある(転移)ように、
精神分析家がアナリザンドに対してそのような感情を抱くこともある(逆転移)といった記述があり、
あ、アリなんだ……と微妙にハートブレイクしたのはそれはそれで。
- 作者: 久能徹,太田裕一
- 出版社/メーカー: ナツメ社
- 発売日: 2013/05/14
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やがて秋茄子へと到る / 堂園昌彦
堂園昌彦氏の第一歌集。19歳から29歳まで。
ちなみに今回買ったのは第二版。初版は金属活字活版であったらしい……手にしたい。
それだけでなく1ページに載せる短歌はひとつのみであるといった点もめずらしい、こんなにさっぱりとした形から執念を感じるなんて。
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こういうもののについて評論の切り口を持たない人以外が長く文章連ねてもどうにもならないことを知っているので、
いま特に好きな4首を引いて紹介を終えようと思います。
いくら具体的なモチーフで提示されていても、描かれているものは観測者にとっての瞬間でありわたしに把握は成し得ない、ただそれが残されていけばよいと願える、そんな4首。
美しさのことを言えって冬の日の輝く針を差し出している
(P.008)
冷えた畳に心を押し付けているうちに想像力は夕焼けを呼ぶ
(P.113)
君は夢中で道路の脇のカタバミを見ている 本は本から生まれる
(P.66)
シロツメクサの花輪を解いた指先でいつかあなたの瞼を閉ざす
(P.224)
- 作者: 堂園昌彦
- 出版社/メーカー: 港の人
- 発売日: 2013/09/20
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本当はあともう一冊、ルポ 川崎という本を読んでいたのですが、
感想書いていて、昔住んでいた市の知らない街という認識のままの割には随分なこと考えてんな、と自覚が沸いたのでここには残さないようにします。
本自体は取材対象のことを適切に尊重していて(いやちょっと肩入れしすぎなくらいか?とりあえず悪い気はしなかったです)、丁寧な仕事であるように思いました。
友川カズキ氏の年季入ったエピソードはパンチありますね、ご本人の歌もグッと刺してくるものだから伝え方なのかもしれないけれど。
勉強飽きた時とかに書き溜めてたつもりだったけどいま見返すとあんまり量も中身もない、何してたんだ……?
2・3月はそんなに書くようなものないはずなのでそのうち穏便に済ませます。