2/14 晩御飯のおとも: 放送大学 生理心理学(第3回 神経細胞のはたらき)
好きなバンドと好きなバンドと好きなバンドの良い報せを立て続けにみて、そういや今年全然ライヴに行ってないなと気がつく、
自分のための時間しか保持していないというのに。
2/14のおとも
放送大学 生理心理学(第3回 神経細胞のはたらき)
たぶん初めて導入科目以外の授業を観た、結構容赦ない畳み掛けですね。
前後篇(脳の構造と機能について)の後編部分のようなので、前提があることが前提となるためでもあるのかもしれない。
生理心理学、今回の動画だけだと細胞生物学ですやんって感じでしたが、
生物学的な視点をベースに精神機能をみていく授業とのことで、なかなか怖面白そう……。
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今回の授業は、生物の人も情報の人もみんなみんな大好きニューロンのはたらきについて。
入力を受ける(樹状突起)→信号が伝わる(軸索)→別の細胞へ信号を出力(軸索終末部)
その一連の流れはどのようなメカニズムで構成されているのか。
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シナプス: 他の神経細胞の軸索終末部と、信号を受け取る部分の樹状突起や細胞体の膜の総称
つまり細胞間の信号の伝達が起こる現場。
軸索終末部と膜の間にはわずかな隙(シナプス間隙)があいており、
その隙間に他細胞から放出される神経伝達物質がやってくると、その伝達物質に合った受容体(例: Na+チャネル)が機能する。
伝達物質がそのままニューロン内に流れ込むわけではなく、あくまでイオンを通すための鍵として使われている、というところに注意。
つまり受け取る側の生理反応を決めているのは、伝達物質ではなくイオンである。
脱分極: (今回の場合だと受領する側の)細胞内外の電位が0に近づいていくこと。
上記の流れが起こるとき、脱分極が起こるにとどまらず、細胞内が正、細胞外が負の電位を持つようになる。
このような電位の変化が起こっている状態が細胞の興奮。興奮していない時の膜電位が静止膜電位。
シナプスで起こるこれを興奮性シナプス後電位(EPSP)という。たとえばNa+の流入によって生じるもの。
逆に+に荷電したイオンが細胞外に出たり、-に荷電したイオンが細胞内に入ったりして起こる電位の変化は抑制性シナプス後電位(IPSP)と呼ばれる。そういうことする受容体もある。
つまりシナプスへの入力というのは、EPSPかIPSPである。
※膜電位よくわからなかったので参考にしたやつ
膜電位を考え直す:高校生の正しい理解のために【1】 | 統合生理学
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信号を伝えるか否かは軸索小丘(軸索のはじまりの部分)に伝わる脱分極の大きさによって判断される。EPSPとIPSPの総和。
ここを越えればそのまま信号が伝わるというわけではなく、今度は長い軸索を無事に通り抜けなければいけない。
軸索の壁となる細胞膜自身は絶縁体ではないため、そのままの状態では電流が漏れ出す。
こうなると距離をゆくにつれ脱分極の大きさも減衰してしまい、興奮は伝わらない。
……しかしそれは脱分極の大きさだけが信号である、軸索の壁は細胞膜のみであると仮定した場合の話。
実際にはそのまま突き進むわけではなく、別の興奮が代わる代わる伝わっていくのである。
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活動電位: 脱分極の大きさがある閾値を超えたとき、跳ね上がるように正へと傾く電位
これによって発生する膜電位はすぐにピークを迎え、すぐに落ちていく(再分極)。その間1msほど。
落ちきったところは静止膜電位よりも低い値(過分極)となる。そしてほどなく静止膜電位にもどる。
EPSP・IPSPによる興奮との違いであるが、それらには電位の振幅に制限がない。アナログ的な波形を見せる。
活動電位は閾値を超えたときかならずピークまで上がるため、発生すれば一定の振幅となる。デジタル的な波形を見せる。
軸索における興奮の伝達は、この活動電位によるもの。
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活動電位を生み出すのもまたイオンチャネルであるが、軸索小丘に高密度に在るこれは膜電位依存型Na+チャネルと呼ばれるものである。
細胞内の電圧が上がるとチャネルの一部分が反発し、それによってチャネルが開いてNa+が細胞内に入り、細胞内の脱分極がガンガン進むといったしくみ。人間なら自己研鑽えぐめのやつ。
しかし、前述したようにこの興奮はピークを迎えると途端に落ち込んでいく。理由は2点。
① Na+チャネルの機構
Na+を通して反発してといった動きと同期する形で、細胞内側のチャネルの穴を閉じる動きが発生する。
閉じてしまうとNa+は通れなくなるため、このチャネルはしばし不活性の状態となる。
不活性の状態が続く期間を不応期という。
② 膜電位依存型K+チャネルの存在
これまた軸索小丘に高密度に存在しており、細胞内のK+を外に出すはたらきをする。
細胞内にNa+が入る動きと細胞外にK+が出る動きは同じように起こっているのではなく、時間差をつけて発生する。
Na+チャネルの働きによる活動電位がピークを迎え、再分極が始まった頃がK+チャネルのピークとなるため、
さらにこの再分極を促進させる。静止膜電位を下回るほどにまで落ちきるのはそのためである。
要因1によりNa+チャネルの穴が閉じている状態では、閾値は無限に高く振り切れる。不応期におけるこの状態を絶対不応期という。
閾値はじわじわともとの値に戻っていく、完全に戻るまでを相対不応期という。
相対不応期の少し高めの閾値においても、これを超える膜電位が生じればちゃんと活動電位が発生する。
それが起こっている状態、閾値が戻りきるのを待たないほどに活動電位が高頻度に発生している状態というのは、
軸索小丘にそれだけ大きな脱分極がキてるということである。
つまり、シナプス入力の大きさは、活動電位の発生頻度へと変換されるのである。
前述の通り、伝達を電位の大きさだけに頼ると軸索をゆく間に減衰してしまうので、こういう変換をすることによってちゃんと興奮を伝えていこうという魂胆ですのね、めっちゃデジタル。
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軸索にも膜電位依存型Na+チャネルが立ち並んでおり、その機構によって次から次に活動電位を発生させ、軸索小丘から伝達された興奮をそのまま伝えていく。
並んでいるのならば逆流してしまうのでは?と思ったらそれはNa+チャネルどもの思う壺で(ちがうとおもう)、
活動電位を起こしたNa+チャネルは不応期を迎えるため、直後のチャネルが起こした活動電位によって再活性するということはないのである。
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しかし、興奮を伝えようとするその度にこのチャネルの開閉を行うというのはだいぶ効率がよろしくない。
そのため、軸索は髄鞘という絶縁体に被覆されている。
勿論、全て覆い尽くしてしまうと前述の活動電位の連鎖による興奮の伝達が起こらなくなってしまうため、
ところどころ剥き出しの部分(ランビエの絞輪)を有している。
この飛び飛びに活動電位を起こして伝達していくことを、跳躍伝導という。
髄鞘のあるのとないのとでは伝達の速度が100倍くらい違う、えげつなく効率がいい、まじですごい。
なおニューロンの軸索の髄鞘化は最初から出来上がっているわけではなく、遅いものだと生まれてから20年かかるものもあるという、大人になって良かった。
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ニューロンからニューロンへと伝達しまくったその先には筋細胞など、その興奮を次の活動に活かしてくれる部位がある。
ここにおいても、神経伝達物質がシナプス間隙に吐き出され、受容体がそれを受けるというしくみがある。
放出には膜電位依存性Ca2+チャネルが関わっている。
活動電位によってこれが開くと、細胞外からCa2+の流入が起こる。
Ca2+は細胞外の電圧を上げるために取り込まれるのではなく、Ca2+としてのはたらきを期待されて導入される。
軸索終末部には、Ca2+と結合することによって反応を開始する分子が存在している。
それは、伝達物質を内包したシナプス小胞をシナプス間隙に面したシナプス前膜にくっつけたり、
その接合部に穴を開けシナプス間隙に伝達物質を放出できるようにしたりといった反応(エクソサイトーシス)である。
つまり、神経伝達物質の放出量は、Ca2+の流入量に応じて増加する。そしてCa2+の流入量は興奮の度合いに応じて増加する。本当によくできている。
Na+がポテンシャル採用だったとしたら、Ca2+は経験者採用である。ほんとか?
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ここまでに述べてきた神経細胞のはたらきは、化学物質を伝達に使うというパターンのものであるため、これを行うシナプスを化学シナプスと呼ぶ。生物のシナプスの大半はこれ。
勿論神経伝達物質を使わず、電流をそのままふたつの細胞間で伝えてしまうのが早いのであり、それを行うシナプス(電気シナプス: コネクソン)も存在している。
ではなぜこれが主流ではないのか。
電気シナプスは電流が来たらそれをそのまま通すしかない。
化学シナプスはその伝達に適宜調節をかけることができる。
様々な環境に適応をする必要のある私たちにとっては、化学シナプスの柔軟な仕組み(可塑性)がちょうどいいというわけである。
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つまり効率だけが全てではない、ということを、私達は自らの身を以てひとつ証明をしているのである。たぶんね
……それは飛躍にしても、むちゃくちゃよくできてますよねこの仕組み、そりゃ人工的に再現もしてみたくなるわけだ。
2/14の晩ご飯
オリジン弁当のサラダとおにぎり。デザートは自分が自分にあげた本命チョコと職場のおねいさまからいただいたチョコ。