11/27 - 12/31の読書感想文
予定を見つけにいかなかったので、あと平日がてんやわんやで学習の予定が達成できなさそうなのが見え見えていたので、
開き直って年末最後の2日間は自分の好きなものに徹底的に向き合うことに決めました。
なかなか至福ですがそのほかのすべてがおろそかになっていて食すらも、すべて液状という有様……。
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昨日は2018年の音楽について↓
そして今日はこの記事を。
おしながき
リーダブルコード / Dustin Boswell、Trevor Foucher 訳:角征典
カラマーゾフの兄弟 / Фёдор Миха́йлович Достое́вский 訳:原卓也
古森のひみつ / Dino Buzzati 訳:川端則子
虫から死亡推定時刻はわかるのか? / 三枝聖
リーダブルコード / Dustin Boswell、Trevor Foucher 訳:角征典
11月末、いよいよエンジニアとして現場での仕事が始まる……といった緊張を適度に有効活用しながら消化すべく購入しました。
新人プログラマーが読むべき本……みたいな記事なりツイートなりでだいたい名前の挙がっている、読みやすいコードを書くための術がまとめられた本。
特定の言語に拠らず、一般的(といえるまで浸透すればとてもやりやすくなるであろう、新人に読ませたがるのも納得)な工夫が紹介されています。
サンプルコードに使用されている言語も様々、C++多いかな?って感じですけど書いたことのない私でも落ち着いて追っていけば把握はできたので、身構えずに……。
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読みやすいのでゆっくり読んでも2-3日で読み切れるとは思いますが、
内容の難度はじわじわ上がっていくため、一周だと後半は読んだ気になるだけになるかも。
私は10章以降の、コードで何をしようとしているのか考えながら構築を整えていく、
広い視野をもって読みやすくしていく技法が紹介されたあたりからだいぶあやふやです。
(それ以前の章についても、読めたならじゃあ実践できているのか?と問われるとてんでだめですが)
度々読み返しては、ここできてないな、とか、これわかるようになったな、とか、
答え合わせみたいにしながら、意識に刷り込んでいくとよいでしょうね。
先述の通り難易度順なのでそういう使い方がしやすいのも、よく勧められる所以なのでしょう。
リーダブルコード ―より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック (Theory in practice)
- 作者: Dustin Boswell,Trevor Foucher,須藤功平,角征典
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2012/06/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 68人 クリック: 1,802回
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カラマーゾフの兄弟 / Фёдор Миха́йлович Достое́вский 訳:原卓也
ドストエフスキーが最後に書き上げた長編小説。
と思っていたのですが、前書きによるとこの物語は2つの小説によって構成される予定で、カラマーゾフの兄弟はひとつめの小説となるはずであったようですね。
ドストエフスキーはこちらの執筆直後に没したために、続編についての資料はほぼ残されていないようですが。
上中下巻あわせて2000ページ弱になり、また展開される思想の一打一打が高密度であったため、
この記事のタイトルに掲げている期間のほとんどを、この作品に充てることとなりました……。
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話の軸となるのは、父フョードル・カラマーゾフ殺しの嫌疑をかけられた長男ドミートリイ・カラマーゾフの裁判ですが、
その場面に至るまでに、作家自身の思想を割り充てられたかのように特異な主義をもち、深い苦悩に苛まれる各々の主人公達の描写や主張が積み上げられます。
苦悩ベースなので理解がハマってしまってもしんどいしとか逆にあんまり理解を向けられなくてもしんどいので様々な面で前半を読み進めていくのがキツいのですが、
後半の審理のシーンにおいてそれらが回収されていき、物語に入り込んでいけるので、小説として楽しみたい方はそのために頑張ってください。
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作者の思想について考えてしまう方のうちでは、神を容認しない次男イワンが修道者である三男アリョーシャに展開する大審問官の物語が有名だそうですね。
宗教と世界と歴史に疎いので、こんなにも鋭い攻めを突きつけていたのか……とひんやりしたのは読了後にいくつか解釈を読んでからのことでしたが。
一応この後の章でそのイワンの主張も飲み込む論が用意されており(ゾシマ長老が死す間際に展開した説話により)、
作者ドストエフスキーは、それを以後の度々で襲いかかる揺さぶりを払うためのキーとして繰り返し作用させることにより、
自身の中で強固に裏付けていった……のかもしれないと感じられました(弱気)。
時代も対象もたぶん主張も異なるけれど、遠藤周作が沈黙で神の捉え方を問い尽くしていたことを少し思い出しました、あれも苦い文章だったな……。
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感想が取り留めもなさすぎますね……。
それほどにまだ、ドストエフスキーが登場人物に託した思想を受け止めきれない、延々と渋滞している。
- 作者: ドストエフスキー,原卓也
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/07/20
- メディア: 文庫
- 購入: 43人 クリック: 1,142回
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チュートリアル / 円城塔
もしゲームの中で見るようなセーブポイントが世界に現れ、活用されていたとしたら?という前提のもとに展開されるSF短編小説。
先日kindleを購入したのですが、kindle向けに短編小説がバラで売られていることにこの形態の自由を感じました。
本作もその形式で配信されていたひとつ。
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ごく短い小説なので、話の内容に触れると即ネタバレになってしまいあまり書けることないのですが……。
なんだか突飛で把握や共感の手を掻い潜るかのように設定された世界の中で生きていくものにフォーカスを当てた小説を得意としている作家さんだと認識しているのですが、
特にこの話のような別離が描かれると、ほぼ確実にやたらエモくなるのがうまくて好きです。
というか実現させたい話の構造を押し通すためにそういう要素入れていそうであるのに、
結局そこに載せる感情的な部分も真剣に描いてしまう、完璧でない狡知が無性に好きです。
- 作者: 円城塔
- 出版社/メーカー: Amazon Publishing
- 発売日: 2018/08/28
- メディア: Kindle版
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古森のひみつ / Dino Buzzati 訳:川端則子
高慢かつ厳格な主人公であるポローコロ大佐と、遺産として継承した古森にまつわる様々なものたちとの関わりを描いた児童小説。
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森の精霊やカササギや風などといったキャラクターが出てくるので、一見するとファンタジー小説のよう(一応そうなのかな?)ですが、
話の内容としては夢や希望を見せるようなものではないです。
時間は人間を変化させる、その変化には抗えない(抗うべきでない)部分が含まれており、
人間はそれに向き合い受け入れていかなければならない。
という、少し厳しい現実を考えさせる物語です。
主人公は前述したような人格でありながら、同時に人ならざる者たちの声を聞くことができます。
作中では大人になるにつれ、そういったものの声は聞こえなくなっていくとされているにも関わらず。
しかし、その秘められた純真さが絶対的な善として描かれているかというと、そうでもなく……。
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ブッツァーティの小説は、タタール人の砂漠という作品も読んだことがあるのですが、
そちらからも今作からも、時は流れるということを人間は無視して生きていくべきではない、
という大人になるにつれて直視したくなくなるそのことについての恐ろしさを、強く感じさせられました。
(刊行時期が近い2篇であるようなので、全ての著作においてそのようなテーマが布かれているわけではないのかもわかりませんが)
厳しいテーマですが、そこから目を背けてきた人間にはかなり効きます。
少なくとも私にとっては、タタール人の砂漠は転職を決意するひとつのきっかけとなりました。
- 作者: ディーノ・ブッツァーティ,川端則子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/06/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: ブッツァーティ,脇功
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/04/17
- メディア: 文庫
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虫から死亡推定時刻はわかるのか? / 三枝聖
発見された死体に群がる虫の種類やその生育状態から、死亡推定時刻など死亡時の状況を割り出す、
法昆虫学者を仕事(のひとつ)としている著者自身によって執筆された、法昆虫学の手引書?
物騒なタイトルや内容であるように見えますが、いやその印象に間違いはないのですが、
今回挙げた本の中で一番読み進めるペースが速かったです笑
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数々の虫の性質を手掛かりに、仮説を積み上げていくその手法が、丁寧かつ読みやすいかたちで紹介されており、
法昆虫学という分野を知らない一般の読者でも、その手法に対する関心の想起と分野の有用性への理解をもたらす本であるように感じられました。
(根本的に虫がダメとかじゃなければ……。)
(前略) 法昆虫学による死後経過時間の推定が不要な社会こそ理想的だと思っているのである。
……「かつて日本でも、死後経過時間の推定に法昆虫学的な手法が用いられていたことがあり、世界にはまだ法昆虫学に頼っている国もある。だが、今はもっと簡単で信頼性や精度の高い別の方法が採用されている。そもそも、昆虫に食べられるまで死体が見つからない(死体発見までに長い時間がかかる)なんて、考えられない」
という社会の方が、法昆虫学の需要が多い社会より望ましいことは明らかである。
法昆虫学がいずれ不要となることを願いつつも、不要になるまでは、推定精度の向上をめざして、死体の発見者である昆虫の証言を間違うことなく聴けるように、試行錯誤を続けていくつもりである。
(P.118 - 119)
上記は最終章の結び部分を引用したものですが、
著者のこういった願いは、この本における誠実な詳解からも垣間見ることができます。
- 作者: 三枝聖
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2018/07/23
- メディア: 単行本
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あとがき
どうにか今年読み終わった本に関しては年内にまとめることができました、読み終わった本に関しては……。
部屋に散らばる未読の書籍の量に慄くことなく、質より量よりマイペースを優先して、
来年も読んでいければと思います。
このままだと液状の食物すらない状態で新年を迎えることとなるので、さすがになんとかしに行きます。
良いお年を!